ソロギターのアレンジにアイディアは必要なし!!(?)

■今年は100曲近くアレンジ譜面を書きました

http://solo-gutar.info のためのソロギターアレンジの楽譜を書き始めてちょうど一年くらいが経ちました。

詳しく数えていないので分かりませんが今年は、
大体80曲から90曲くらいのアレンジをして譜面を書きました。
デモ演奏がYoutubeに上がっているのはその内58件。

その他、ソロギターの既存のオリジナル楽曲
(以下敬称略)
西村歩、ぷう吉、両氏のソロギター楽曲を譜面に起こしたのが10曲ほど。
打田十紀夫の「coconuts clash」の譜面のダウンロード販売開始。
こちらの演奏は14曲Youtubeに上がっています。

合わせると、現在72曲が http://solo-guitar.info のYoutubeアカウントに上がっています。

・・・ということで今年は概ね100曲程度の譜面を書いたり何だりしてきました。
大体3~4日に一曲は何かしら譜面をきちんと書いていた計算になります。

それ以外にもレッスン用にアレンジして販売していないものや、
自分の為のアレンジ、作曲等で、150曲ほど書いていると思います。

これが多いのか少ないのかは分かりませんが、
少なくとも私の今までのキャリアの中では最も譜面を書いた年になりました。

■ソロギターのアレンジにアイディアは必要なし!!(?)

さて、タイトルにある

「ソロギターのアレンジにアイディアは必要なし!!(?)」

ですが、

solo-guitar.info でJ-POP等の楽曲をソロギターにアレンジしていくのに
一切、アレンジに対してアイディアは使っていないということです。

端的に言ってしまうと、

「既存の楽曲を出来るだけ原曲と同じイメージでギター1本で弾けるようにしただけ」

というのがsolo-guitar.info でのアレンジです。
つまりは既存の楽曲を機械的にアレンジしています。

これはアレンジに対して「アイディア」の問題ではなくて、
獲得可能な「技術・スキル」の問題で
練習し習得すれば、誰でも同じ事は出来るという事を意味します。

■solo-guitar.info でのアレンジの方針

solo-guitar.info でJ-POP等の楽曲をソロギターにアレンジして譜面にしていこうと思った時に、
アレンジの方針としていくつか決めたことがあります。

・スタンダードチューニングで弾けるようにアレンジする。
・原曲のメロディはそのままで弾く。よっぽどのことがない限りいじらない。
・原曲と出来るだけ近いテンポで演奏する。
・原曲とコードを変えない。
・前奏や間奏、後奏なども原曲と出来るだけ同じようにアレンジする。
・不可能な運指はしない。
・原曲とキーが変わってもOK。
・カポ無しでも演奏可能な運指。(実際の演奏はカポを使用してもOK。)

・・・等です。

これらの方針になったのは、
「機械的にアレンジするにあたって、そうする事が一番楽だから」
です。

■チューニング・カポについて

演奏にあたっては、オープンチューニングにしたほうが劇的に簡単になったり、
原曲のイメージに近づけやすかったりした曲もありましたが、
全てスタンダードチューニングでアレンジしました。

スタンダードチューニングでアレンジしたのには、「アレンジが楽だから」
という理由の他にも次のような理由もありました。

ソロギター愛好家のブログやTwitter でのつぶやき等を見ていると、

・オープンチューニングがわからない
・チューニングを変えるのが面倒くさい
・カポを持っていない
・カポを付けるのが面倒くさい
・カポの指定があるときはカポを必ず付けないといけないと思っている

等、オープンチューニングやカポに対するアレルギーがある方のほうが多いようでした。

そこで、

「・スタンダードチューニングで弾けるようにアレンジする。」
「・カポ無しでも演奏可能な運指。(実際の演奏はカポを使用してもOK。)」

という方針でアレンジしようと決めました。

■機械的なアレンジの手順

solo-guitar.info でのアレンジの手順は大体、以下の通りです。

1.原曲を聴く
2.メロディー及びコードを把握する

3.メロディーのみを譜面に書く
4.コードのルート音のみをコードチェンジのタイミングで譜面に書く
5.ルート音を出しながらメロディを実際に演奏出来るか確認する(ここで始めてギターに触る)

6.「3.4.5.」の手順を終えて運指に無理が生じる、音域が足りない(特に低音方向)、場合、移調を行い、運指や音域に無理が生じないキーを探す。

7.メロディに対してどのようなタイミング・リズムでベース音が入るのか方針を固める
8.ルート音以外の音、3度や5度、テンション音など、必要最低限な音を 「7」で決めた方針に従って譜面上に書いていく

9.改めて全体を通して実際にギターで演奏してみて、実際に演奏出来るか、無理は無いか確認する。

10,後は練習あるのみ。完成。

重要なのは譜面ベースでアレンジを仕上げて行っている点です。

譜面が書き上がってアレンジが終了した時点では、私自身もすぐに演奏できるわけではありません。
譜面を見て練習して初めて演奏できるようになります。

■譜面ベースでアレンジする

多くの人はソロギターのアレンジをする時、
好きな曲が弾きたくて、なんとなくメロディー、なんとなくベース音を弾いていたら、なんとなく良い感じのアレンジになりそうだったので、
なんとなく全体的にアレンジが出来てしまった。

・・・というような事が多いのではないでしょうか。

これだと時間もかかるし、途中で難しい運指になりそうな所で結局諦めてしまったとか、
他の曲がアレンジ出来る気がしない、結局アレンジしたものを忘れてしまった、
というような事が起きてしまったりします。

簡単にアレンジし、かつ、忘れないようにするためにも
譜面を書くことを強くお勧めします。

譜面には多くのソロギターリストはアレルギーがある人が多いのも知っていますが、
アレンジをしてみたい方は譜面が書けるようになったほうが、
はるかに効率的にアレンジできます。

また、譜面が読めたほうが演奏もうまくなります。

かくいう私も昔は譜面は苦手で、書くの面倒臭いなぁと思っていた一人です。
少しづつ譜面を読んだり、書いたりすることで克服していきました。

■譜面ベースでアレンジする利点

譜面ベースでアレンジするよい点は、いくつかあります。

・視覚的に把握できる
・今、演奏できなくても、練習すれば技術的に可能か検証できる
・移調の必要があった時に困らない

・・・等です。

中でも「視覚的に把握できる」というのは最も大きな利点の一つです。

既存の曲をソロギターにアレンジする場合で、
「メロディとコードはいじらない」という前提で話をすると、
問題はその他の音、「3度や5度、テンション音」をどのタイミングで入れるかに尽きます。

この、その他の音をどのようなタイミングで入れるかによって、
曲の印象や難易度が変わってきいます。

譜面に書くことによって、その他の音が、
どのようなタイミングでメロディに対して入ってくるのかを把握することができます。

つまりは、「どのタイミングで同時にメロディとその他の音を鳴らしているのか」ということが把握できます。

これはソロギターにおいては非常に重要なことです。

J-POP等のソロギターは基本的には
「メロディ」「ベース音(コード音含む)」の2つで構成されています。

「メロディ」は既存の曲なので、変わりません。
つまりは、
「ベース音(コード音含む)」をメロディに対してどのように入れていくかを把握することが大事なのです。

2つ目に書いた
「・今、演奏できなくても、練習すれば技術的に可能か検証できる」
という点についても、譜面で書いて演奏してみれば、
今すぐ弾けるのか、
今は弾けないけど練習したら弾けるのか、
やっぱり運指が無理で弾けないのか、わかります。

自分でアレンジするときは好きな難易度でアレンジすればいいわけです。

■譜面を書くということは

譜面を書くのは、文章を書く作業と同じです。

文章を書くということは、
「音声」を視覚的な「文字」にすることです

人は幼い頃に「言葉」を「声」に出します。そして、その「音声」を表す「文字」を書くことを段々と覚えていきます。

例えば、最初は「あい」という「音声」を「文字」に書くために「あ」とか「い」という「文字」の書き方を覚えるわけです。
覚えたての幼い頃は「あ」とか「い」をどうやって書けばいいのか確認しながら、間違えながら覚えます。
大人になる頃には、問題なく「あい」という「音声」を問題なく「文字」にして書けるようになります。
そして、他の「文字」も覚えることによって、様々な「文章」や「小説」「物語」が書けるようになっていくのです。

譜面も同じです。

譜面を書くということは

「楽音」を視覚的な「絵・記号」にすることです。

「A」という音が聞こえてきたときに、五線譜上のどこに、どのような「記号」で書けばよいのか、
少しづつ覚えていきます。
もちろん、最初はすぐには書けませんが、少しづつ経験を積むことによって誰でも書けるようになります。

そして、様々な「絵・記号」の書き方を覚えることによって、様々な「フレーズ」や「曲」が書けるようになっていくのです。

■実際にかかる時間の目安

さて、ソロギターのアレンジを機械的にアレンジする場合にはどれくらいの時間がかかるのか
私の場合を紹介したいと思います。

ざっくり言うと、
初めて聴いたJ-POP等の5分くらいの曲を、前奏、メイン、間奏、後奏、までアレンジして
綺麗に譜面を仕上げて、Youtubeにデモ演奏をアップするまで8時間から16時間です。

童謡等の1分程度の曲やシンプルなメロディの曲の場合は、
アレンジして綺麗な譜面にして、Youtubeにデモ演奏をアップするまで3時間から4時間程度です。

J-POP等の場合、その内訳は、最初に曲を聴いてざっくりと譜面を仕上げるのが2時間ほど。
そこから詰めてアレンジを固めるのが2時間ほど。譜面を綺麗に描き上げるのが1時間ほど。
練習が3時間ほど。実際にデモ演奏の撮影が2時間ほど、というのが大体の内訳です。

初めて聴く知らない曲だったりすることが多いので、やっぱり練習時間はそれなりに必要になります。
またデモ演奏は楽譜通りに弾く、且つ、最初から最後まで一回もミスが出来ないので、何度も撮り直します。
多い時は何十回も演奏する場合もあります。

そんな訳でYoutubeにデモ演奏を上げるまでにはそれなりに時間はかかるんですね。
ちなみにデモ演奏はあくまでもデモ演奏なので、感情的に演奏はしていません。
譜面通りの演奏を出来るだけフラットな感じで演奏するようにしています。

アレンジのみに注目してみると、ざっくりとしたアレンジで良ければ、
2時間ほどで譜面は出来てしまいます。
アレンジをするだけで良ければ、それなりの速さで初めて聞いた曲でも出来るわけです。

これは「アイディア」を使わず「技術・スキル」だけで、実際には「譜面を書く」という「作業」しかしていないからです。

■アレンジのスタートでつまづかないために

ソロギターのアレンジをしてみようと思った時に、
ほとんどの人が
「機械的なアレンジの手順」で紹介している
「2.メロディー及びコードを把握する」でまずつまづくのではないかと思います。

「曲を聴いてソロギターにしよう!よし、耳コピでメロディーを取って、コードを取って・・・」

という風に思うのがほとんどだと思います。
もちろん、それもひとつの方法で正しい方法なのですが、
耳コピは慣れていないと結構時間のかかる作業です。
私も耳コピは苦手で時間がかかる方です。

もし、ソロギターにアレンジしてみたい曲がある場合は、
その曲の譜面がある場合は、素直に参考にすることをお勧めします。

歌モノであれば、歌のメロディとコードが掲載された「歌本」が安くで購入できます。

そういった物を参考にして譜面をソロギター用に書いていけばいいわけです。

もし参考にする譜面がない場合はもちろん耳コピになります。
耳コピの方法を書きだすとまた長くなってしまうので今回は書きません。

でも、ソロギターのアレンジを練習してみたい場合は最初は参考に出来る譜面がある曲をやってみることをお勧めします。

■譜面を書けるようになるためには

写譜をお勧めします。

好きな曲やソロギターにアレンジしたい曲の譜面を用意して
そのメロディを自分で用意した譜面に実際に記載していきます。

もちろん手書きでなくコンピューターでもOKです。

但しその場合、タブ譜面の番号で譜面を埋めていくようなソフトではなく、
直接、五線譜に打ち込めるようなソフトでなければ意味がありません。

写譜をすると、段々と譜面が書けるようになり、そして読むのも早くなります。

■ギターの指板上の音を把握する

実際に譜面に書いた音をギターで弾くためには、
指板上にどのように音が並んでいるのか把握していないといけません。

ソロギターの場合、様々なポジションでベース音とメロディを同時に鳴らしていきます。
あるポジションでは不可能な音の出し方が別のポジションで可能な事もたくさんあります。

キーがCのドレミファソラシドだけでもいいので、
毎日、様々なポジションで弾いて見ることをお勧めします。

どこの位置にいてもすぐにドレミファソラシドが弾けるようになれば、
ソロギターのアレンジをするにあたって十分に役立ちます。

■ソロギターアレンジとは何なのか

今回書いてきた話はあくまでも「機械的にアレンジする」という方針のものです。

そもそも、既存の曲をギター1本で弾けるようにしたからと言って、
それが「アレンジした」というのか分かりません。

メロディーを変える、拍子を変える、コードを変える、ベースラインを変える、チューニングを変える・・・等、
アレンジに置いては実際には様々な「アイディア」があって、
独自の本当の意味でのアレンジになっていきます。
そして、それをプレイヤーが演奏行為をすることにより音楽になっていきます。
いろいろと頭を悩ませながら「生み出していく」ものです。

この「アイディア」を使ったアレンジこそが、
多くのソロギターリストが本当はしてみたいアレンジだと思います。

しかしながら、「アイディア」を使ったアレンジを始める前に
アレンジの「型」を学ぶためにも、
「機械的にアレンジする」という方法にもぜひ一度チャレンジして見ることをお勧めします。

まずは4部音符を多用しているような童謡、次に8分音符が中心のフォークソング等、
そして、最後に16部音符も多様しているような現代のJ-POP、
といったように段階を踏んでいけば「機械的なアレンジ」は誰でも出来るようになります。

ぜひ、みなさんもチャレンジしてみてください!

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